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富田和明的個人通信

月刊・打組

1999年 9月号 No.49(10月8日 発行)

このページはほぼ毎月更新されます。年10回の発行

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『残夏を駆ける月見月』   

              9月   

9月13〜15日  青山円形劇場公演用 最終稽古
 東京打撃団結成以前から代表・平沼の念願だった照明家・松本直みさんを迎えた稽古合宿。直みさんとは僕が太鼓打ち再デビューを果たした四年半前の舞踏公演『沈める瀧』以来の付き合いだ。二年前の正月には直みさんのアレンジでハンチョウ(故・河内敏夫)の最後の足跡をたどる旅をし、マニラの御自宅を根城にさせていただいた。世界を股に掛けて活躍する直みさんの体からはキラキラと輝くオーラが放たれている。その身体意識こそがすでに照明家である。


9月17日 東京信濃町の大塚テキスタルスタイル学院にて衣裳の最終直し
 一人の衣裳に五、六人の生徒さんが製作班として参加し、監修が新井淳一氏、そして指導教官が加わった総勢29名の作品となった。


9月18〜19日 打撃団 青山公演
 ほぼ三六0度お客さんに囲まれた舞台は、それと判っていても改めてお客さんの前に出てみると、新鮮な感覚が湧き上がった。やり慣れた曲もまったく新しい曲となって音が生まれる。何度でも体験したい面白空間。全国から駆けつけていただいた皆様に感謝。


9月21〜22日 愛知県旭町へ、三州旭太鼓『谺(こだま)』指導 


9月23日 国立劇場「日本の太鼓-オンナが打つ-」を見る
 女性だけの『天邪鬼(あまのじゃく)』と、大曲(おおまがり)太鼓道場のプロ集団『蘭導(らんどう)』の演奏に魅かれた。『鬼太鼓座』は双子三味線は素晴らしいが肝心の太鼓が面白くないのにガッカリ。


9月24〜25日 台風と入れ違いに長崎県大島町へ『肥前大島 真砂(まさご)太鼓』指導
 人口約六千人の大島はちょうど三宅島と変わらない大きさだが、台風の去った後の静かな海は波がほとんどない湖のよう。チームの代表がプーク人形劇場の会員さんということで呼んでもらった。子どもたち六人とその父兄とで二日を過ごす。大小たくさんの島々が点在する海とそこにきらめく太陽の道を眺め、心が安らいだ。


9月28日 フレンドリー日韓太鼓コンサート『海わたる風』
 ソウル風物(プンムル)団+打撃団とジョイント/ゲスト李 周煕(リ チュヒ)
 一日の公演の為にソウルから風物団が仙台にやってきた。一年振りの再会、このところ疲れ気味の僕だったが、前日のリハーサルで彼らの演奏を聴いて俄然元気になる。金属音とチャンゴと肉声のうねりは確実に僕の体を癒して活力を蘇らす。和太鼓にもその力は内在していると思うが、韓国の響きはまた格別である。体の奥から小さい竜巻が起こってくるようだった。


10月1〜2日 長岡「一陣風」学校公演の後、越路町へ『こしじ巴太鼓』指導
 急速に秋が訪れようとしている米所新潟の平野を歩く。ここ越路町ではコシヒカリと並び五百萬石という酒造り用の米が多く作られているという。新しい曲に五百萬石(ごやまん)という名前を付けた。


明日も太鼓が叩けますように』

10月7日 

 支持政党を持たない僕だが、一つだけ決めていることがある。それは原子力発電所(原発)推進行政を進める政党政治家には票を入れない、ということだ。そうすると当然のことのように僕が票を入れた候補者は落選し、原発支持政党候補者が当選する。これが現在の日本国民と呼ばれる私たちの選択なのか?
 確かに政府や電力会社は巨額の宣伝費を投入して安全性、経済性を説き、必要性をあたかも戦時中の大本営発表の如く垂れ流した効果が現れているのかもしれないが、百の真実の内、一つの真実を上げ、九九の真実を隠すそのCMを目にし耳にしてしまうたび僕は頭にきてしまう。まったく国民を馬鹿にしているとしか僕には思えない。本屋さんへ行って何冊か原発関係の書籍を読めばどちらの言い分が正しいのかすぐに判るだろう。なのになぜだ?
 人間も機械も100%、ミスをしないものはこの世に存在しないし、事故は必ず起こる。起こればそれは阪神淡路大震災や台湾大震災の規模を遥かにしのぐ地球規模となるはずだ。そして奇跡的にその大事故が起こる時期が遅れていたとしても、放射能廃棄物の処理問題はいまだ未解決のまま、世界中の原発は見切り操業を続け、放射能汚染物質を地中や海中に溜め込んでいることを忘れてはならない。
 なぜこのような危険を犯して僕たちは日常生活を送らなくてはいけないのか?地震は防げないが、原発は人間の手によって止めようと思えば止められるのに、である。
 僕が戯れ事を書いたり話したりしながら、太鼓を叩いて何とか一家が生活できているのも、世の中が平和であるからこそできることだ。
 いくら安全対策をとり法案を作ったとしても、交通事故や飛行機事故がゼロにはならないように、原発事故も再び三度何度でも起こる。今こそ自分の中で小さな決断をすべきだ。少なくとも原発行政を推す政治家には票を入れないことである。

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インターネット版 『月刊・打組』1999年 9月号 No.49

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