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富田和明的個人通信

月刊・打組

2000年 1月号 No.52(1月28日 発行)

このページはほぼ毎月更新されます。年10回の発行

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二千年こんなことあり

1月28日 

   

 さて年が明けた(と書いたがもう十二分の一ヶ月は終わってしまった。年末から風邪をこじらせ正月も風邪正月でうろうろ家で過ごしていたら二週間が過ぎ、残りの二週間は東京打撃団の公演などで風のように過ぎ去ってしまった。そんなわけでまだ慌ててこれを書いている)。
 本年・二千年、まずは新企画『和太鼓 ようごザンス』がスタートします。
※「和太鼓 ようごザンス」チラシ・イラストは、佐藤智子さん作

 主に養護学校を舞台に遊び廻りたいと思っています。タイトルの「ようごザンス」は僕が五年と少し前、養護学校の先生方対象の太鼓教室を開いた時に作った太鼓曲の名前で、とても気に入っています(曲も面白いですよ)。この名前をいつか別の形で使いたいと思っていた願いが叶いました。これから回を重ねてどんな「ようごザンス」になっていくか楽しみです。
 東京築地『兎小舎』での活動は昨年一年間ほとんどお休みをしていました(第13夜のみ三月に行った)が、そろそろ再開させたいと思っています。『富田和明 兎小舎 なにみてたたく』は後、二夜を持って終幕とし、新・兎小舎シリーズを考えています。が、まずは皆様、三月九日、第14夜をお忘れなく!

 そして我が故郷・淡路島での『二千年を打つ会』があります。
 デザイン事務所「カチドキ」代表の野村高志さんが素晴らしいチラシとポスターをデザインして下さいました。
 太鼓アイランド淡路のオープニング出演メンバー募集も、只今受付中ですので、ふるってご参加下さい。
 
 二千年内刊行を予定しておりました僕の第五冊目、『太鼓打ち誕生(仮名) 富田和明』は、この月刊・打組の五年間を中心に太鼓打ち再デビューから現在に至る活動をまとめるつもりですが、これは21世紀発行になるかもしれません。
 なにぶんにも本の出版は時間がかかりますので、末永くお待ち頂ければ嬉しいです。 
※1月16 日 戸塚公会堂公演 舞台袖にてPhoto/S.Kensaku
 去年の七月から、今年三月の『二千年を打つ会』に向けて酒を止め、ダイエット中。15年前の体には戻りませんが、15年前の体重には戻したいと思っています


Oh!太鼓
叩く見る聞く歌う笑う

おおっ! 太鼓のススメ


                     
12月18〜19日 

 
  一八歳で映画学校の演劇科に入学し、二年間で多くの師に学んだが、その時のことをいまだに想い出す。この時期に出逢った事柄は、恋愛に限らず多岐に渡り、深く体と心に刻み込まれるものであるようだ。
 今から25年前の授業での、先生方の顔・声・身のこなしなどを、今でも脳裏によみがえらせることができる。
 いつも穏やかで、時には前夜の打ち上げの酒が残っていたような音楽のO先生、ゆっくりとした物言いながら強い意志を感じさせ何でもその気にさせてしまった演技のH先生、激しい性格そのままの発声訓練のA先生、授業の印象はなく授業の始まる前にいつも尺八を吹いていた舞台演出の先生、初めて身近に太鼓と笛の音を知らされたお囃子のS先生、そしてその中でも一番強く印象に残っているのが、肉体表現の関矢幸雄先生だ。
 先生の最初の授業が「お手玉」だったように思う。苦手な「演技すること」に比べ、練習すれば確実に上達するお手玉に僕は夢中になった。その後はボールを使うこと、棒を使うことを覚え、体を使うことを教わっていく。
「すべては肉体表現から始まる」
「理屈よりも表現できる体を磨け」
が関矢先生の口癖だったように思う。
 現在の太鼓というものは、一つは「儀式・宗教・祭」での神との仲介者として捉えられ、また一つは「純粋に音楽を奏でる楽器の一つ」として楽しむものと捉えられている気がする。単に宗教民俗のものとも言えないし、音楽、と一言で片づけられない面を持っている。僕はその両方の間で遊びたい。25年前と比べると太鼓の世界のなんと多様化したことよ!太鼓教室も全国各地津々浦々で日常的に行われている。
 僕が「Oh!太鼓」で目指すものは音楽教室としての太鼓ではないし、日本の心に触れることでも心の音楽療法というものでもない。結果的にそうなっている面もあるかもしれないが、それを目指すのではない。
「太鼓を通しての自分という肉体表現」、これを考える場でありたい。 
                 
※第一回『Oh!太鼓』参加者の皆さん  第二回は春〜夏にかけて開催予定

   

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インターネット版 『月刊・打組』2000年 1月号 No.52

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