インターネット版●

富田和明的個人通信

月刊・打組

2003年 9月号 No.88(10月1日 発行)

このページはほぼ毎月更新されます。年10回の発行

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満天の星空の下で

 

8月29日

 

 サンリオピューロランド夏祭りの太鼓指導を始めて早三年になる。
 屋内式テーマパークにとっては、冷夏に見舞われた今年の夏は幸いだったようだ。外がどんな天候であれ、ここでは常に星空の世界が広がっている。
 三年目を迎えた、みこし夏祭り。
 今年は『みこし夜祭り』というタイトルになり、少しずつ変化をとげてきている。
 今年の太鼓の特徴は、最初に男女二人の寄せ太鼓のシーンが加わったことと、太鼓とソーラン節のシーンで、これまで以上に踊り(振付/新海絵理子)と太鼓がミキシングされたことがあげられる。このシーンは、ダンサーでないと叩けない太鼓になった。
 ピューロランドの営業時間が終わった後、実際の舞台「知恵の木ステージ」を使い、稽古が連夜続く。隣の広場では中国大連から来た雑伎団のメンバーが、どこか牧歌的な、しかし緊張感のある稽古を行っている。休憩時間に彼らと短いお喋りをするのも、ここでの僕のささやかな楽しみだ。
 新海先生の、アッという間に振り付けられていく稽古を眺めながら、
「僕もここまで踊れればなあ〜」などと呟く。
 ダンスをやりたいと言いながらも、いくつかダンススタジオの見学をしただけで、いまだレッスンは受けずじまいでいる僕だ。自分は出来ないけれどやりたかったことの一つ。それがわずかながらでも実現したのが今回の太鼓である。
 稽古期間が短かったので、ちょっとまだ不安材料を残したまま、僕の指導日程は終了した。
 その後、7月19日の初日の幕が開いてから一ヶ月が過ぎ、本番でお客様とのふれあいでどう成長したのかを見に行った。

 驚いたのはお客様の熱気にだった。
 それにダンサーたち(彼らが太鼓も叩く)もよく応えている。一回のステージしか見ていないが、先ずは嬉しい気分になった。
 ダンサーの皆さんは基本的に明るく、それがいつも眩しい。稽古の時には少し固かった表情も、本番のステージでは変わっていた。
『みこし夜祭り』が終わった後に続く人気イベント『光のパレード』を見ながら、いつまでも僕たちを鼓舞させるこの明るい笑顔を忘れないでほしいとしみじみ思う。
 この年になって、キティちゃんが好きになった僕だが、別にキャラクターを買い求めたり、収集している訳ではない。キティちゃんにかかわる沢山のスタッフの、真剣に頑張る姿と笑顔を見てきたので、キティちゃんの姿とそれらの皆さんの姿とが重なって見えるからだ。
 アメリカ産のミッキーも嫌いではないが、日本生まれのキティちゃんの頑張りに、これからも応援したい気持ちの一人である。

 

ぜひ他の写真も合わせてご覧下さい! Photo/Tomida-K

SANRIO PUROLAND!みこし夜祭り・20032003.8.25 知恵の木ステージ)

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輝く緑に紅の秋 九月の旅

※今回は「その日の気分打」の書き直し、あるいはそのままです

9月30日

 

 朝起きて小一時間ほど歩くのが僕の日課だが、今朝も快晴。淡路に来てから連日陰りのない空が続く。
 さすがに島の空は広くてデカイ。
 その空の青さと、山の緑、輝きの下の深い影。そよぐ風。そして稲刈り後の畦に咲く彼岸花の紅。
 胸が締め付けられるようなこの色彩。
 お盆が過ぎてから始まったような遅い夏にも、ようやく終止符が打たれ、明らかに秋に全身が包まれている。
 気がつけば、今月も今日で終わり。日記を見ながら少し振り返ってみたい。

 

9月7日(日)

 

 京都は宇治の山中にて二日間、太鼓アイランド炭山が行われました。
 小学校の体育館がその会場でしたが、好天にも恵まれ(過ぎ)、その暑いこと!  
 こんなにどろどろと汗をかいたのも久しぶりでした。
 なにしろ僕が持っていったTシャツを全部汗で汚してしまい、最後には僕一人パジャマ替わりの長袖Tシャツを着ていたくらいです(それでよけいに暑かった)。写真はこちら
 気候も暑かったけれど、人はもっと熱かった。30人を超える人数でのワークショップは久しぶりでしたが、参加者の心意気がまたすごい。一人一人がやる気満々で、ついこちらも熱くなってしまい、唄って踊ってもやってしまいました。
 まあ暑くて、なんか刺激的にやっていないと頭と体がボーとしてくるというのもありまして、色々と遊んで楽しく過ごしました。
 炭山太鼓練習会の皆さま、お疲れさまでした。お世話になりました!酒も飯もうまかったです。

 

9月13日(土)

 

 と、今は、広島の山中にいます。
 廿日市市の元・吉和村。昨日から佐藤健作と二人旅(佐藤健作 和太鼓公演)です。
 昨日は車の中で11時間、二人っきりでした。会うのは7月の25周年コンサート以来ですから、あんな話こんな話、そんな話とんだ話、話し疲れたら眠り、目覚めたら話すという、まるで仲の良い熱々カップル旅でした。
 それで着いたところが、「魅惑の里」って言うところです。魅惑と言っても、きれいなお姉さんの姿は今のところまだ見あたりませんが、温泉もあって宿泊施設もあります。が、ほんとに人の姿はまばら‥‥。ここで野外コンサートの予定でしたが、どうもホールの中でとなりそうです。
 雨が降っています。けっこう寒いです。大丈夫なのか?ここにお客さまが集まってくれるのか?

 とりあえず、健作、起きろ!もう朝だぞ〜って、あれっ?まだこんな時間?  も一回風呂に入ってきます。

 

9月18日(木)

 

 暑い日が続いていますね。残暑御見舞申し上げます(何回目かの)!  広島から帰ったと思ったら翌日から、齊藤栄一氏と川崎でトーク齊富の稽古合宿に入りまして、昨日、栄一氏は佐渡へ戻りました。
 今度会う時は、本番直前の稽古となります。まだ僕にもどんな舞台になるのか、全然わかりません。
 雲をも掴む感じですが、少しづつでも同じ時間を過ごすことで、舞台への歩みを進めていると信じております。

 

9月26日(金)

 

 山下洋輔さんが「CDジャーナル」に連載しているエッセイ『文字化け日記』に僕の25周年の事が少し紹介されています。  洋輔さんにも楽しんでいただけたようでよかった‥‥。トップのイラストって洋輔さんと僕のからみなのか(気になる方はぜひHPをご覧下さい)?

●CDジャーナル誌に掲載中の 山下洋輔の『文字化け日記』2003年9月号より抜粋 「富月田日。鼓童の以前の主力メンバーで、いわば「富田流芸能太鼓」確立の、富田和明さんのリサイタルに助太刀。〜」 ※全文は洋輔さんのHPでも読むことが出来ます。洋輔さん、ありがとうございました。
http://www.jamrice.co.jp/diary/diary.htm

 昨日は、千葉県のとある幼稚園創立30周年記念公演で『目が覚めたらタイコだったボク』をやったのですが、小学校の体育館で子供たちに囲まれてのボクの演技中に、タイコのきぐるみを身にまとったボクに子供たちが殺到! 
 ええっ、こんなにたくさんの‥‥。助けてくれ〜動けないぞ〜(汗びっちょり)。
 公演の途中で子供たちに質問したり、ミニワークショップをする場面で、観客のほぼ七割くらいの子供たちがいっせいにボクに駆け寄った。
 学校の体育館公演も色々やってきましたが、こんなことは初めて。やっぱりタイコのきぐるみは、子供たちには刺激が強すぎたのか‥‥。
 良い子のみんな!体にタッチしにくるのは、おじさんのお仕事が終わってからにして下さいね。

 

9月29日(月)

 

 週末土日と徳島におりまして今日から淡路です。
 徳島は快晴でした。暑いくらいの陽気。でも夜はけっこう冷えます。秋なんですね。こちらは星がきれいです。夜空の輝きが冴える季節ですね。

 土曜日は、この夏に行って曲作りの途中だった国府養護学校へ行き、手直しをしてきました。
 相変わらずの元気よさは、生徒さんも先生方も同じです。曲の名前は『阿波の夏〜うかれ太鼓』となりました(命名は先生方)。この曲を持って11月の近畿高校総合文化祭に出演するそうです。
 僕の徳島作曲シリーズは、新紀撃02公演での『背中おんぶ太鼓(まだ名前が付いていない)』が第一作目。二作目が海南太鼓の『八坂八浜』、三作目が国府養護学校の『阿波の夏〜うかれ太鼓』、そして四作目がトーク齊富で初お披露目予定の『南打町演舞場』 です。
 南打町の名前は、もちろん僕の大好きな南内町演舞場(徳島阿波踊りの期間中だけ設置される)からとっていますが、普段この場所はどうなっているのか、ふと気になりまして日曜の朝にホテルから出発して散歩してきました。
 ここは市内中心部・新町川沿いにある、土とアスファルトの整備されていない凸凹場所でありまして、「徳島こども交通公園」という消えかけた看板が掛かっていました。
 今は誰もいないこの場所に立ってみて、夏の熱気を想像してみますと、陽炎のようでありましたが、いい味を出していましたね。

 日曜日。太鼓アイランド徳島の後、夜八時、毎日阿波踊りをやっている「阿波踊り会館」へ行きました。阿呆連がこの日の当番出演でした。
 観客よりも出演者の数の方が多い(のではないかと思うくらいの)贅沢な公演です。軽く流しているような演奏と踊りではありましたが、それでも底力を感じさせます。なにより出演者が楽しそうなのが、嬉しい。
 それを見ながら、また早く夏が来ないかな〜なんて思ってしまう。まだ終わったばかりなのに‥‥。これで僕も立派な阿波踊り狂いかもしれません。

淡路島の実家近くの田圃で Photo/Tomida-k

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インターネット版 『月刊・打組』2003年 9月号 No.88

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