月刊・打組 2013年 8月号 No.130(8月26日 発行)


 

太鼓打ち富田和明が歩く

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2013 vol.2

土佐國之巻弐 8/17-21 第四日目から七日目まで

 

 


第四日目(通算14日目) 8月17日(土)

 

 

午前七時前、竜の浜からスタート。

少し山を登るだけで、三十六番・青龍寺(しょうりゅうじ)に到着する。

 

 

 

 

 


 

 

その後、まさかの夏地獄道路。

 

地図を見ると「横浪スカイライン」、とあって、

山の峰を歩くので、いい感じかな、と思っていたらとんでもない、

日陰のない、広いコンクリートの道路が永遠に続く。

長かった‥‥‥。

自動販売機も少なくて、休憩所もない。

 

 

しかし、こんな山の中に今、夏の甲子園にも出場している

明徳義塾中高等学校があるなんて‥‥

 

これは、虎の穴か!と思った。

そう言えば、横綱になった朝青龍も、この学校の卒業生だ。

名前になった朝青龍の青龍は、先ほど参拝した三十六番・青龍寺から付けたものらしい。

 

 

やっと休憩所だ、と思ったら納骨堂だった。

管理人さんにお願いしてトイレを借りた。

自動販売機もあって、大袈裟なようですが、命拾いの感。

 

 

ここは野良犬と野良猫のたまり場であり、シカバネも多くあった。

合掌。

ペットを飼う方、どうぞ最後まで面倒をみて下さい。

なんらかの事情があって、捨てに来るのでしょうが、

ここに限らず、山の中では犬や猫と多く会う。

 

人間の残酷さと、動物の哀れみと恐怖を感じます。

 

 

 

 

このスカイラインを必死で歩いて、それでもなかなか進まなかった。

 

スポーツセンターが山を下りたところにあって、そこで水をかぶって倒れるように休む。

今回の遍路で一番苦しい道程でした。

 

その後も山道は続いたけれど、ここには日陰もあったので、

何度も休みながら、歩く。

 

この遍路休憩所にも大変お世話になりました。

ありがとうございました。

 

須崎の町に入ると、大型スーパーマーケットがあって、

今日ばかりは、天国に思えました。

涼しい。水もたっぷりある。

食べ物も水も買い込んだ。

 

リュックは重くなるけれど、それでも欲しい。

 

町外れに道の駅があって、そこまでで本日は打ち止めとする。

鰹のタタキとビール‥‥‥、たまらん一時。

 

 

 

午前七時、土佐湾に面した竜の浜からスタートして、須崎まで


三十六番・青龍寺(しょうりゅうじ)


歩行参拝11時間 約26キロ 宿は、道の駅かわうその里すさき

 


第五日目(通算15日目) 8月18日(日)

 

夜中、何かの音で目が覚めた。

それが雨だと気が付くのに少し、間があった。

それくらい久しぶりの雨だった。

雨は降らないと思っていたので、驚く。

農家の方は、少しだけでも喜ばれることだろう。

こんな量ではだめか?

 

朝四時に起きて、四時半に出発する。

真っ暗だ。

ヘッドライトを付けて歩いた。

雨も降っていたので、カッパも着ている。

 

トンネルを越えると、安和(あわ)の町だ。

ここのコンビニで朝ご飯を買って、農産物直売所で食べる。

六時。

雨が上がり、カッパもぬいで、夜も明けた。

 

この後、まさかの、道を間違う。

遍路道は表示がいつも丁寧にあるので、

これさえきちんと見ておけば、大体間違わないことになっているが、

標識マークが100%ではない、僕の場合、遍路道ではないところに足を踏み入れてしまった。

 

焼坂峠。

急な上り道が続いて、チェーンがある。

このチェーンを握って、手で引っ張らないと登れない。

これは大変な道だなと思いながら、

やっと登ってきたと思ったら、最初歩いた道に戻っていた。

 

地図を見ると、この峠は遍路道ではなかった。

その間、一時間くらいだったので、まだ助かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久礼(くれ)の町を過ぎて、いよいよ「そえみみず」に向かう。

 

 

 

 

その前に、この遍路小屋で休む。

合掌。

 

 

そしていよいよ。

 

ここには非情な階段が続く。

元々の遍路道にはこんな階段はなかった。

高知自動車道という高速道路建設の為、こんな階段にここはなった。

その後の、山道もきつかった。

 

 

やっと山道を下りる。

 

と、僕を待っていたかのような川が!

 

 

 

 

 

もう入りますよ、誰が止めても入りますよ。

止める人は誰もいませんが。

奇麗な清流。

 

ここで洗濯と入浴。

合掌。

気持ちよ過ぎ。

 

 

 

足を入れると、魚がたくさん集まってきます。

 

双津(そうづ)の川。

 

 

 

ふたたび歩き始める。

 

四万十町・JR影野(かげの)駅、ここで昼寝をする。

無人駅。

 

江川崎の名前を見つけたので‥‥。

ここから山に入っていくようだ。

 

窪川の町に入って、

三十七番・岩本寺(いわもとじ)に到着。午後六時。

 

 

ここまでの今日の道程は、長かった。。。

一時間かけてしっかりお参りをする。

 

 

 

 

四時半、須崎から歩き始め、六時にお寺に到着して参拝


三十七番・岩本寺(いわもとじ)


歩行参拝14時間弱 約33キロ 宿は、岩本寺



 

第六日目(通算16日目) 8月19日(月)

 

真っ暗の中を歩くのは、やはりよくない。

朝5時が過ぎても、外はまだ暗いが、出発した。

 

窪川から土佐入野を目指す。


少し歩いて、コンビニで朝ごはんを買って食べていると、夜が明けて来た。

 

雨が降ったり止んだり。
山の遍路道では霧がかかっていた。


その後、いつもの夏真っ盛り空になっていく。

 

 

 

 

今日も、道を一度間違う。

山を下りた時に、国道を高知方面に戻って歩いて行く。

40分ほど歩いたところで気が付き、元に戻る。

 

 

 

 

六日目にして初めて歩き遍路さんと遭遇。

65歳から歩き始め、もう9周目の遍路、70歳だという。

元気すぎる!

暫く一緒に歩くが、この方のスピードについて行けず、また一人に。

 

 

 

 

 

川に呼ばれて、また入浴。

最高に気持ちがよかった。

これまで入った川はどれもキレイでしたが、今日の川が一番奇麗だと思う。

高知市から離れれば離れるほどきれいなのかな、

住んでいる人が少ないということなのかな‥‥。

 

 

 

 

虫コナーズ、必需品です。

 

この後、また山の遍路道に入る。


右膝が痛くて、騙し騙しストレッチをしながら歩く。

 

 

山の中、アンパンマン列車が駆け抜けて行く。

 

 

海が見えた!


土佐湾に出る。

 

 

 

黒潮町伊田まで来て午後5時、もう足が限界になり、ここで泊まることにした。

 



岩本寺を朝五時発 午後五時過ぎ黒潮町伊田着


参拝なし


歩行参拝十二時間 約30キロ 宿は、民宿たかはま



第七日目(通算17日目) 8月20日(火)

 


今日は中村までの予定なので、朝がゆっくりだった。

宿でご飯を食べて、出発は七時半。

 

 

 

 

ずっと土佐湾を左に見ながら歩く。

浮津の浜で沢山のサーファーが波乗りをしているのを発見!

 

海辺でも松林の中は、気持ちがいい。

 

最初は我慢していたが、たまらず僕も海に入る。

高知まで来て、海に入らないで帰るわけにいかない。

遊泳禁止地区だけれど、サーファーがいっぱい。

 

 

 

 

 

ここには、コインシャワーも充実していたので、安心。

 

海に入った後は足が重くなるが、ここから中村までは約10キロなので、なんとか歩く。

 

 

 

中村が見えて来た。

この橋を渡れば、今回の遍路も終わる。

夏空の見納めだ。

 

 

2013年の暑い暑い夏は、まだまだ終わらないだろうけれど‥‥‥。

ありがとう、土佐の山、川、海、そして太陽。

お大師さまと過ごした夏。

合掌

 

 

 

午後1時、四万十市・中村駅に到着。

僕の第三回歩き遍路富田打ち、区切り打ちも、ここで打ち止めとする。

帰るとなると、とても淋しい気分になったけれど、楽しい一週間だったな。

 

ママチャリで日本一周中だという大学生と会う。

青春している顔は輝いていた。

 

いくつになっても青春したいな。

 

 

 

 

朝7時半、黒潮町伊田を出発、午後1時四万十市中村駅に到着


参拝なし


歩行参拝五時間半 約18キロ



帰路  8月20日(火)

 

 

 

 

駅前のうどん屋で昼食を食べ、列車に乗った。

ここから高知駅まで、約3時間半。

新幹線なら東京から岡山まで行けちゃいますが、

これは僕が四日かけて歩いてきたところを、3時間半で戻る。

歩いていて見た、列車が駆け抜ける風景を、今度は逆に列車から流れる風景を見ていました。

 

とにかく寒いのです。
列車の中が。

冷房が効き過ぎていますから‥‥。
外は10分歩くのだって大変な炎天下だというのに。

 

 

このペットボトルをいつも手に歩いた。

これがなくなると、リュックの中の大きいペットボトルから水を補給して。

 



高知駅に戻って、

駅近くの温泉がある旅館を教えてもらいお風呂を入りに行った。

立派なお風呂とサウナもあって、ほんとうに気持ちがいい。

ここでゆっくり疲れと汚れを落とす。

一週間振りにタニタの体重計も発見!

しかし‥‥‥体重が家を出た時よりも増えていた。

‥‥‥こんなことが世の中にあるのでしょうか‥‥‥どうもこの体重計は壊れていたようです。

しかもサウナに一時間も入った後、再び計ると300g増えていた。
これは絶対にどうかしている!

ま、体重計以外にはなんの不満も不平もない温泉でして、気分よく旅館を後にした。

駅近くのスーパーでビール二缶とお寿司を買って、バスの待合室で食べる。

20時半ごろ、東京行き夜行バスは出発した。





番外  8月21日(水)

 



夜行専用バスは、三列シートで途中に休憩もなく(トイレは車内にある)、走り続ける。

※バスは何度か停まるけれど、乗客は降りられなかった。

四列シート普通バスに比べると、ぐっすり寝られるはず。
が、午前三時に起床。

一週間の習慣で早起きなんです(元々の習慣か‥‥)。

 

 

バスは一時間遅れて、8時20分頃、新宿西口に到着。

このまま電車に乗る気がしなかったので、そこから歩く事に。

新宿に着いた時、ここはアジアだ!
と、アジアの匂いを感じた。


人間と食べ物と排気ガスが混ざった臭いでしょうか?
とにかく高知には、なかった臭い。

人がいっぱい歩いています。新宿ですからね。

 

※これは用賀付近

 

新宿から代々木、池尻、三軒茶屋、用賀、とここまで歩いて電車に乗りました。
ここまで約三時間の東京散歩。

そしてたまプラーザに着いて、帰宅。

 

 

 

 

 

この写真では判りづらいかと思いますが、手が真っ黒。
長袖を着ていましたから手の甲だけです。

それと体中が腫れています。

なぜだか判りませんが、手も足も顔もパンパンです。
体重計も、高知駅前旅館の体重計が壊れていないことが判りました。

一週間以上歩かないと、体は逆に一生懸命前の体型を維持しようと必死になっていたのが、

この結果になっているのでしょう。

歩くのが一週間以上になると、体も諦めて、その現状に慣らそうとするようなんです。

とにかく今回の歩き遍路でも体重は減りませんでした。

 

10キロ近い荷物を担いで、一日20〜30キロを七日間毎日、炎天下に歩いたとしてもダイエットにはなりません。

※荷物はリュックとウエストポーチ分を合わせて約7、5キロでしたが、

それにいつも水500cc、と350cc、他にカロリーメイトやバナナやサバ缶などを持ち歩いていたので。

 

 

腫れ腫れと 顔足腕に腹回り 猛暑続きの 夏も終わらず

 

 

この次は、いつ出られるのか、まったく判らない。

やっぱりそれは、すべて御導きに依る。

自分の力で歩いていても、それだけではなく、

誰かの力のお陰で、歩かされている気がします。

 

それでも、自分の意思、気持ちは大事です。

 

どんなに足が痛くても、

歩こうと思えば、歩くことは出来る。

止めようと思えば、足は一歩も動かなくなる。

 

歩こうと思う気持ちがあれば、必ず前に進む事ができる。

 

 

 

合掌。

 

富田和明

 

 

 



 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2008

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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2009

阿波國〜土佐國之巻 を歩き終えて

vol.1 11/9-11 第一日目から三日目までは、こちらをクリック  二十三番から二十四番

vol.2 11/12-13 第四日目から五日目までは、こちらをクリック  二十五番から二十七番

 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2013

vol.1 8/13-16 第一日目から三日目までは、こちらをクリック 二十八番から三十五番

vol.2 8/17-21 第四日目から七日目までは、こちらをクリック 三十六番から三十七番

 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2014夏

vol.1 8/11-13 第一日目から三日目までは、こちらをクリック 三十八番

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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2014秋

vol.1 9/30-10/2 第一日目から三日目までは、こちらをクリック 四十一番から四十三番

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富田和明 プロフィール

 

 


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インターネット版 『月刊・打組』2013年 8月号 No.130

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